貴重な漆塗りを体験して、伝統の間口を学ぶ

こんにちは、地区活性化担当の志賀です。

私が常陸大宮に来て接する機会が格段に増えた言葉に漆」があります。それまで漆には、神社で使われるもの、あるいは漆器は”高級”というイメージしかなく、ほとんど馴染みがありませんでした。

しかし、茨城県は漆の生産量が全国第2位。さらにそのほとんどが常陸大宮市やお隣の大子町で生産されており、透明度の高さや光沢の良さから品質が高く評価されている『奥久慈漆』や『大子漆』として有名でした。

 

漆はなぜ高級?

1本の木から採れる漆は200g程度(牛乳瓶1本分くらい)で、木を植えてから漆が採れるようになるまで10年育てなければいけないそうです。

漆は一度に採るのではなく、3~4日の期間を置いて少しずつ掻いていきます。そして牛乳瓶1本分の漆を掻き終えた木は倒してしまいます。とても手間と時間のかかる作業です。

さらに、生産している地域が岩手県、茨城県、栃木県などわずか数県で、非常に少なくなっていることも高級化の理由に挙げられます。

現在国内で使用されている漆の97%以上が中国からの輸入によるもので、国産の漆は3%ほど。漆が高級と言われる理由が痛いほど分かります。

そんな漆を塗れる体験をしてきた!

毎年好評の「漆塗り体験教室」を私も受講することに(昨年度開催の教室には私以外の隊員が参加)。

中塗りと上塗りという工程では、上記の奥久慈漆を使用するということで、ワクワクが止まりません。

今回の教室は小学校3年生~92歳のおじいさんまで幅広い年齢層の方々が参加しました。

漆塗り体験教室の全5回の工程は間瀬隊員が昨年ブログにまとめているので割愛(漆塗り体験前編漆塗り体験後編)。

私は、同じく今回参加した方に素敵な写真を提供して頂いたので、写真で体験内容をおさらいします。

 

基本工程⇒かぶれ防止と指紋や指の油がつかないようにする為に手袋を着用して、「生漆(きうるし)」「透漆(すきうるし)」「黒漆(くろうるし)」等をる。そしてく。かす。を繰り返します。

今回の体験教室では、小皿とお箸に漆を塗り、螺鈿(らでん)を自由にデザインして貼りました。

 

中塗りと上塗りには国産漆を使用しました。

工程を重ねるほどに艶が増します。

 

そして私の作った漆塗りの完成品がこちら。

写真では分かりにくいですが、塗っている途中で埃がついてしまったらしく表面がぼつぼつしてしまいました。でも世界で一つのお気に入り!

 

漆は生き物

”高級なもの”と聞くと、なんとなく大事にとっておきたくて使うのを遠慮してしまいますが、漆は使えば使うほどに趣が増すのだそうです。

今回の体験教室は漆塗りの世界のほんの入り口だと思います。しかし、伝統工芸に気軽に触れる機会が増えることで関心が向き、本当の良さを知ることに繋がるいうことを学びました。

 

漆塗り体験教室講師:YUS山方漆ソサエティの皆さま

(お問い合わせ:YUS事務局 〒319-3107 茨城県常陸大宮市舟生153-3 TEL 0295-57-3232)

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