地方創生の目的とは-東京一極集中の問題点を掘り下げるー

こんにちは、地区活性化担当の志賀です。

地域おこし協力隊となってもうすぐ1年。

今回は少し堅苦しく、自分の中で整理するために、地域おこし協力隊制度の大元である「まち・ひと・しごと創生法」の目的と背景と、自然災害についてまとめたいと思います。

 

目次

1.「まち・ひと・しごと創生法」の目的と背景

2.東京一極集中の問題点

3.首都直下型地震について考える

 

1.「まち・ひと・しごと創生法」の目的

―人口の減少に歯止めをかける・東京圏への人口の過度の集中を是正する

 

地方創生に関する法律の一つで、人口減少対策を目的として2014年に制定されました。その中で2009年に発足していた地域おこし協力隊は、「地方への新しいひとの流れをつくる」という基本目標達成のためにまち・ひと・しごと創生総合戦略に新たに組み込まれました。

出典:内閣官房
参考:内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「まち・ひと・しごと創生法について-その制定の背景と条文のポイント-」/内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「まち・ひと・しごと『長期ビジョン』『総合戦略』」/総務省まち・ひと・しごと創生総合戦略における総務省の主な施策(参考資料)

 

2.東京一極集中の問題点

―①出産・子育てしづらい環境 ②高齢者数の大幅な増加 ③自然災害への弱さ

 

なぜ東京一極集中を是正しないといけないのか。

日本の総人口は2008年から減少しており、2010年に1億2806万人あった総人口は、2060年には8674万人まで減少すると予測されています(出生率が1.35で推移した場合/国立社会保障・人口問題研究所)。

出典:内閣府「平成25年版高齢社会白書(全体版)」

今後人口減少と同時に進む急速な高齢化により、経済・社会保障・財政・地域社会等に影響が出るとされており、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という「超・高齢化社会」(2025年問題)はすぐそこに来ています。

(2025年まであと8年・・数字にするとかなりエグイ)

こうした問題と東京一極集中の是正がなぜ関係するのか。東京一極集中の問題点を3つ挙げます。

参考:内閣府「東京への一極集中の是正について」

 

 ①出産・子育てしづらい環境

・長距離、長時間通勤の一般化

・待機児童問題(東京都11,416人平成27年10月現在)

・出生率の低さ(2015年ワースト:東京都1.17/トップ:沖縄県1.94/全国1.46)

参考:厚生労働省「平成27年4月の保育園等の待機児童数とその後(平成27年10月時点の状況について)」/日本経済新聞(2016年5月23日掲載)

②高齢者数の大幅な増加

・東京圏では65歳以上が2050年に約450万人増加(対2010年比)

・医療、介護施設や人手の不足(東京圏では2025年までに入院需要が20%増加見込み/埼玉・千葉・神奈川県では2025年までに介護需要が50%増加見込み)

参考:総務省「三大都市圏等関連資料」/日本創生会議首都圏問題検討分科会「東京圏高齢化回避戦略 一都三県連携し、高齢化問題に対応せよ」

③自然災害への弱さ

出典:内閣府「平成16年度版防災白書」

 

特に上記の①②は少子高齢化の原因・問題と密接に関係していることが伺えます。

 

3.首都直下型地震について考える

私が東京一極集中の問題点として最初に思い浮かんだのが自然災害が起こったときの混乱です。

首都直下地震(M7程度)の30年以内の地震発生確率は70%(文部科学省地震調査研究推進本部による2012年1月1日現在/内閣府(防災担当))。

首都直下地震はいつ起こってもおかしくないといつも言われていて、もはや耳タコかもしれません。

しかし、もし本当に地震が起こったらどんな被害があるのか。

今回は、今後起こりうる可能性のある首都直下地震19パターンのうち、中央官庁や企業の本社への影響が最も大きいとされる都心南部直下地震の被害想定を取り上げます。

出典:中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ「首都直下地震の被害想定 対策のポイント」

【都心南部直下地震】被害想定

M7.3 冬夕方、風速8m/秒のケース

・死者      :最大2.3万人

・全壊・焼失家屋 :最大61万棟

・要救助者    :最大7.2万人

・被害額     :約95兆円

・その他:電力(5割の地域で停電が発生し、最悪の場合1週間以上回復しない)

電話(携帯電話を含め不通の状態が1日程度続く)

道路(主要道路の開通は少なくとも1~2日程度、一般道の復旧には一ヶ月以上を要する)

鉄道(運転再開には地下鉄で1週間、JRや私鉄では1ヶ月程度を要する)

 

首都直下型地震の被災の特徴

  • 首都中枢機関への影響(政府関係機関・経済中枢機関)
  • 巨大過密都市を襲う被災
    • 膨大な数の被災者の発生(火災・帰宅困難者)
    • 深刻な交通麻痺
    • 電力供給の不安定化
    • 情報の混乱
    • 復旧・復興のための土地不足(ガレキ・住宅等)
参考:中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ「首都直下地震の被害想定 対策のポイント」/国営東京臨海広域防災公園「首都直下地震への備え 地区防災計画について考える」

規模が大きすぎて上手くイメージすることすらできません。

 

まとめ

今回の記事を書くための情報収集の際に、興味深いサイトを発見しました。

J-SHIS MAP

地震調査研究推進本部が作成しているもので、

ページ左上端に知りたい市区町村を入力すると、その地域が30年以内に見舞われる大地震の確率が表示されます。

確率の段階ごとに色分けされているので一目で分かりやすく、思いつく様々な市区町村を調べては一喜一憂していました。

 

少子高齢化は国レベルの問題でいまいちイメージが湧かないし 、大震災も自分事として上手く想像ができない人は多いと思います。(私もその一人)

しかし改めて調べてみると日本は今、かなり深刻で大きな爆弾をいくつも抱えていることが分かりました。だからといって自分の生活がすぐに変わるわけではありませんし、自分一人の頑張りで変えられるような簡単な問題でもありません。

ですが意識を向けることなら今からでもできそうだと思えました。

一人ひとりが意識を向ける。その積み重ねで何かが変わるかもしれないなと、変わったらいいなと希望的観測です。

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