こんにちは。茨城県常陸大宮市地域おこし協力隊の松原 功(まつばら こう)がお送りします。
地域おこし協力隊として最終年度をむかえました。昨年度(2019年度)の活動を振り返るとともに、最後の1年の活動を全5回でまとめています。 今回は2年目(2019年度)におこなった狩猟の主な活動の報告をお届けします。
2年目(2019年度)の狩猟
主な取り組みとして以下のことをおこないました。
・鳥獣被害対策研修
・イノシシ捕獲と解体
・くくり罠づくりワークショップ
・箱わな用IoTイノシシ捕獲装置の改良
・頭蓋骨標本の製作
鳥獣被害対策研修
農林水産省補助事業「令和元年度鳥獣被害対策基盤支援事業」による「鳥獣被害対策コーディネーター等育成研修」と「地域リーダー(森林)育成研修」を受講しました。
鳥獣被害対策コーディネーター等育成研修の目的としては、「鳥獣被害対策について幅広い知識を持ち、関係機関との調整ができ、地域の実情に応じた実効性のある計画を立てられる人材を育成すること」、地域リーダー(森林)育成研修は「森林の被害対策を現場で管理監督する人材を育成すること」です。
内容としては、鳥獣の基礎知識を含む各鳥獣が及ぼす被害の特性や現状把握のための調査方法、目標設定と事業計画など。フィールドワークもあり、防護柵の設置やくくり罠設置の実習など幅広く鳥獣被害のことが学べました。
鳥獣被害対策をおこなう上で大事なことは捕獲と防護といわれています。捕まえてることも大事ですが、野生動物が里に侵入することを防ぐことも重要であることを改めて実感しました。
イノシシの捕獲と解体
今年度は2頭のイノシシを捕獲、解体。1頭目は12月に捕獲した約46㎏のオス、2頭目は猟期終盤の3月に捕獲した約74㎏のオス。
常陸大宮市では箱わなの貸し出しをおこなっています。自分で高価な箱わなを用意せずに捕獲ができるので非常に助かります。今回も箱わな、自作のIoT装置、電気止め刺し、トレイルカメラを利用しての狩猟となりました。
昨年度からの改善点と再確認できたこともあり、狩猟技術の向上をおこなえました。以下にまとめです。
・捕獲してから解体までの流れや必要な道具等を書面でまとめ、いざ捕獲した際に焦らないように工夫
お肉を美味しくいただくために、止め刺し、血抜き、内臓の取り出し、個体を冷やすというこの一連の流れはスピード勝負です。私もまだ不慣れなところもあるので、事前準備も含めて、カンペとして利用しました。いずれは不要になるくらい慣れていきたいです。
・解体時の吊るし台を製作
以前は軽トラの荷台、コンパネの上など横にしたまま表皮はがしをおこなっていました。今回は単管パイプを用いて、組み立て式の解体台を作成し、吊るしの挑戦。吊るすことで表皮を剥ぐ時間が短縮され、肉への汚れ付着を軽減できたと感じました。今回は頭を下にして吊るしましたが、頭が上で吊るす方もいるそう。次回の試してみます。
・餌をセオリー通り撒く
茨城県が公開している「箱わなによるイノシシ捕獲マニュアル」をもとに餌(米ぬか)を散布。個体差や出現状況にもよりますが、早ければ撒き始めて4日で完全にわな内部に侵入し、完全に警戒心を解くことに成功しました。
・箱わなの底の金属部分を土で覆わない
「箱わなによるイノシシ捕獲マニュアル」では「イノシシは板や鉄板など足が滑る所は警戒して入りません。このため,箱わなの底の金属が見えない程度に土で覆ってください」とありましたが、労力削減のため覆いませんでした。これも個体差はあると思いますが、カメラで確認できた個体全てを捕獲できたので、覆う必要はないかなといまのところ考えています。ただ覆うとき覆わないときの比較検証は必要だと思うので今後おこないます。
・電気止め刺しは大型のイノシシでも効果的
昨年度は13㎏の小型の個体で止め刺しを試しました。今回は74㎏の個体でも10秒程度で脱力することがわかりました。取り扱いには細心の注意を払います。
・ナイフはしっかり研ぐ
これは猟師にとって当たり前のことですが、ナイフはしっかり研いだものを使用します。剥皮、精肉の時間が短縮できます。
【閲覧注意】イノシシ捕獲と解体画像 ※血あり、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください【クリック注意】
くくり罠づくりワークショップ開催(2月と3月の計2回)
くくり罠を自作することで、野生動物や鳥獣被害、狩猟への興味関心をより高めることと情報交換を行い、地域間交流などに繋げることを目的に開催。
2月は5名、3月は4名(各回定員5名)で東京、茨城、栃木、福島から参加していただきました。アンケートでの総合的な満足度は高く、また参加したいとの声が多かったので、今後も定期的に開催することを検討中です。また、次回開催時には地元猟師の協力を得て、より地域に根ざした交流をはかれるようにしていきます。
箱わな用IoTイノシシ捕獲装置の改良
初年度に赤外線センサーや人感センサーを利用したイノシシ捕獲装置を自作しました。ただセンサーで検知して箱わなの扉を落とす部分(以下動力部分)と扉落下後にスマートフォン等に通知する部分(以下通信部分)を同一の装置内に組み込んだため、電力の消費が激しく、誤作動も起こっていました。
そこで、動力部分と通信部分を別の装置として分け、コスト削減と省電力化に努めました。また、今後多くの方が使用できるレベルまでもっていくために、電力と操作性のバランス調整をおこなっています。なかなか難しい部分があり挫折しそうですが、せっかくなので仕上げてみます。
可動部分だけに関して言えば今回のイノシシ捕獲にも利用したので、実用レベルになっています。
頭蓋骨標本の製作
頭蓋骨の標本づくりは、以前とは異なる方法をとり、地中に埋め土壌の分解者を利用しました。以前は頭の骨を煮て、残っていた肉などをそぎ落とす方法をとっていました。地中に埋める方法は埋めた後に約半年間ひたすら待つだけなので、煮る方法に比べて簡単です。ただし注意事項として、埋めている期間、タヌキなどに掘り起こされないようにする必要があります。
以上が2019年度に取り組んだ狩猟関係の活動です。
次回は、今後の活動についてお届けします。最後までお読みいただきありがとうございます。
地域おこし協力隊って何なの?という方のために実態を書いています。是非ご覧ください!