貴重!カラフルな餅柱で彩られたお堂~妙蓮寺のお会式(おいしき)~

朝晩は冷えますが,昼間の日差しが少し暑いくらいですね。こんにちは,岩崎です。

11月4日から5日にかけて,桧山地区にある妙蓮寺のお堂がお餅とお花で彩られる「妙蓮寺のお会式(おいしき)」が行われました。今回は,普段聞きなじみのない言葉が出てくるので,言葉の説明をしてから当日の様子について書きます。

妙蓮寺はどこ?

妙蓮寺は常陸大宮市の西側,桧山地区にある法華宗寺院です。

那珂川を渡って,御前山ダムを通り抜けた所にある集落が桧山です。栃木県茂木町と接しており,ツインリンクもてぎや茂木町の中心地には車で20分ほどで行くことができます。

 

▲赤線で囲まれた場所が常陸大宮市桧山です

妙蓮寺は赤線枠内の桧山公民館と表示されている場所になります。

桧山のとなりも桧山

上の地図を見ると,常陸大宮市桧山を南西の方角に抜けると,茂木町の桧山公民館があります。つまり,常陸大宮市桧山に接している場所は茂木町桧山なのです。

昔は茂木町側の方が上桧山,常陸大宮市側の方が下桧山と言われた1つの村だそうです。貞享3年(1686)に,下野(現:栃木県)桧山との国境を定めました。

お会式とは,日蓮上人の命日近くに行われる法要のこと

お会式は仏教の法会という意味ですが,一般的には日蓮上人が亡くなった日に行う法要を指します。儀式の中では,日蓮上人像にお餅が供えられ,信者は万灯(まんとう)を持って参拝します。

10月か11月に行われる

日蓮上人は弘安5年(1282)10月13日の朝に池上(東京都大田区)で亡くなりました。その場所は今は池上本門寺(ほんもんじ)と大坊本行寺(だいぼうほんぎょうじ)になっており,池上本門寺では10月11日から13日までの3日間盛大に行われます。12日の※逮夜(たいや)の万灯供養には30万人の人が訪れるそうです。

場所によっては旧暦でやるため,その場合は11月になります。妙蓮寺も旧暦に合わせて行っているようです。

※逮夜…命日の前日の夜のこと。

 

▲池上本門寺の本堂。この中でお会式が盛大に行われます。

 

▲本門寺最寄りの池上駅近くにはポスターが残っていました

全国でも数少ない餅柱が飾られる妙蓮寺のお会式

前置きが長くなってしまいましたが,ここから本題に入ります。

妙蓮寺のお会式では餅柱が飾られます。お餅を供えることはあっても餅柱を作るのはめったにないそうです。

 

▲4色のお餅と大根・柿・菊の花で彩られた須弥壇

餅柱の材料作り

まず,餅柱に使う大根と柿を切ります。

 

▲大根は30センチくらいに切ります。青首大根は餅柱に映えそうですね。

速さが勝負!お餅の形づくり

おもちをついた後,筒形と平形にのばしていきます。

 

 

お餅が固まってしまうので,この作業は早め早めで行います。

形を作った後は4色に彩り,三角と四角に切り分けます

▲のばした餅は食紅を使って赤・緑・黄に染めていきます。白いのはそのままです。

 

▲染めたのち,三角と四角に切り分けていきます

いよいよ飾り付け!カラフルな餅柱が出来てゆきます

▲小麦わらでできた柱。ここにお餅や柿などが飾られます。

 

わらの柱を須弥壇の柱に巻き付けてから,飾り付けが始まります。

 

▲大根,柿,三角の餅,四角の餅,また三角の餅,熊笹,菊の花の順番で飾ってゆきます。柿と大根の飾りが火のついたロウソクのように見えますね。

 

▲完成形がこちら。

餅柱は,日蓮上人が亡くなった日は10月にも関わらず桜が咲いたそうで,その桜の木を表しているそうです。

1日目はここまで。朝8時に集合し,この飾り付けが出来上がったのは2時半近くになっていました。

5時間以上かけた飾り付け,でも解体はあっという間

2日目は,飾り付けた餅柱を解体します。解体は30分ほどで終わってしまいました。

 

餅柱に飾られていたお餅や大根などは参加した方に配られました。

来年の当番の方への引継ぎ

餅柱の解体後は,来年の当番の方に引継ぎを行います。当番の皆さん,お疲れ様でした!

桧山ではお会式を「おいしき」と読むそう

通常,漢字表記の「お会式」は「おえしき」と読みます。

ですが,記録ノートの表紙には「お会式(おいしき)」と記載されていました。地域特有の読みなのかもしれません。

妙蓮寺のお会式は1つの行事で色んなことを知れる奥深いものだった

お会式に参加するにあたり,お会式や桧山地区のことなどを調べていました。そしたら,調べるほど奥が深いのです。

まず,お会式を調べれば日蓮上人の亡くなった日であることを知り,日蓮上人が亡くなった時のことを調べればその場所が今の池上本門寺であることを知ったり…。

さらに,餅柱に大根や柿を使うことを考えると,大根や柿がすぐ手に入りやすいのは桧山ならではなのかな…と思ったりもします。妙蓮寺のお会式は,地域性や日蓮上人の命日の法会など様々な要素が詰まっている行事だと感じました。こういう行事に参加できてとても嬉しかったです。

今後も1つのことを色んな視点で見ていきたい,そう思えた行事でした。

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