茨城県常陸大宮市地域おこし協力隊の間瀬です。
常陸大宮市に来たからには、一度は漆塗りをしなければ意味がない!
そんなご意見をいただきまして、漆塗り体験をしてきました。
全五回の体験ということで、本日は一回目から三回目までの前半の作業をご紹介します。
当体験で作るものは醤油皿二枚と箸五膳です。
一回目(7月3日)
まずは注意事項です
1.漆を塗ってない木肌の状態から完成まで、素手では決して触らない。触ってしまうと、手の油が付着してしまいます。
2.漆のかぶれに関しては行事保険が効かず自己責任となります。漆のかぶれは翌日以降に発症し、行事保険として適用するのが難しいためだそうです。
3.手袋を外そうとするときに、片方の手でもう片方の手首を触ってしまい、かぶれる可能性が高いので注意しましょう。今回はより安全を期すために手袋を二枚重ねで装着します。
作業に入ります
手順1.水ぶきをします。木をけば立たせると、漆がよく染み込むため
手順2.からぶきをして、乾かします
手順3.漆を塗ります
手順4.タオルを使い、ぐいぐいと塗りこみます
手順5.さびを塗ります(※さびとは漆に砥の粉(とのこ)を混ぜたもの)。木の道管を塞ぐため
手順6.タオルを使い、ぐいぐいと塗りこみます
多くの工程があり、ずいぶん大変だったと改めて思いました。
一日目からしてだいぶ美しくなってきたという感想です。一回しか塗っていないとはいえ、さすが漆です。
というところで、一日目終了です。
漆を定着させるため、次回まで乾かします。
乾かすといっても乾燥させるわけでなく、漆の中の酵素が酸素と適度な湿気を取り込むことによって、漆の成分であるウルシオールが固まるという性質を利用している点が面白いと思いました。
この性質を利用すると、温度を上げて酵素を不活性化させると、漆が接着しなくなるなどの操作もできます。
※普通の塗料は、シンナーの揮発によって接着するというしくみだそうです。
二回目(8月7日)
所用のため、この日は欠席してしまいました。
作業は先生に代行してもらいました。
漆の上塗り作業とのことです。上塗りのときには表面がつるつるのままだとうまく漆が乗らないので、一回やすりでざらざらにします。
手順1.やすりでお皿の表面をざらざらにします。木目にそって磨きます
手順2.漆を塗ります。まず縦方向にしっかり塗り、塗りムラをなくすために続けざまに横方向にも塗ります
前回よりさらに高級感が増してきました。
木目と漆の具合が最高です。
三回目(9月4日)
螺鈿(らでん)を塗ります
螺鈿とは、青貝の殻の内側の真珠色の光を放つ部分を薄く種々の形に切って、漆器などの表面にはめこんで装飾とした物とのことです。
手順1.やすりでお皿の表面をざらざらにします。
手順2.螺鈿部分に漆を塗ります
手順3.螺鈿を乗せます
やするときはムラができないように注意です。やすりすぎて木が出てしまっても駄目です。
光に当てて白く見えるところはよくやすりがけができている部分で、漆の色のままの部分は不十分です。
周りからは、『一心になって作業をしていると、心が洗われるようだ』という声も聞こえてきました。
漆掻きの見学に行きます
傷をつけると、すぐに樹液がしたたってくるので、それをすかさず容器にうつします。
今は1キロ5万円くらいで取り引きされているそうです。
漆の掻きあとが逆三角形になっていますよね。
掻き傷が小さいものが最初の頃に掻いたものです。だんだんと大きな傷にしていきます。最初から大きな傷をつけてしまうと、木が傷んで樹液を出さなくなってしまうからだそうです。
6月頃から漆掻きが始まり、秋までに掻き終えて、その後は伐採するそうです。同じ場所で次に漆掻きができるようになるのは、次の苗木が生長する10年後くらいだそうです。
というところで、三日目終了です。
出来上がりが楽しみです!
体験が行われているパークアルカディアケビン村では、年間で漆塗りを体験するプログラムも用意されています。興味のある方のご応募をお待ちしています。
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